私がマタニティケアをやろうと思ったきっかけは、修業時代にさかのぼります。
既存のクライアント様の紹介でその方の娘さんを見させてもらう事になったんですね。
娘さんは当時20代後半で、一人目の産後にものすごく腰の調子が悪くなって、それがずっと続いていたそうです(一年だったか二年だったか…)。
初めてお会いした時、正直、20代後半とは思えない程、憔悴しきって、やつれた顔をされていたんですね。
それを見た時、待望の子供が出来て、とても嬉しいはずなのに、こんなにつらい思いをされていることにとてもショックを受けたんです。
そして出来るだけのことをさせてもらったら、少し楽になったようで、やつれ切った表情が、パッと明るくなって、笑顔が見えたんですよね。
例えるなら、暗雲立ち込める悪天候のなかで、雲の隙間から日がまぶしく差し込んだような…
その時、「ああ、この仕事、選んで良かったな!」と思ったわけです。
その時の印象がすごく残っていて、ゆくゆくはもっと勉強して、お母さん方の笑顔を少しでも増やしたいと思ったんですね。
お医者さんは大学で医学に関するすべての情報を学び、医師免許を取った段階ではどの専門にも進める状態にあります。
そんなピカピカのお医者さんが一番選ばない専門が産婦人科なそうです。
変則的な勤務だし、責任は重大だし、大変な割には美容整形などに比べて儲からない…
整体も同じで、やっぱり妊婦さんを見る時はいつも以上に神経を使うし、知識も必要だし、時間もかかります。
なので妊娠中の方の施術をお断りしている整体院も多いわけです。
当時は情報が少ない中、いろんな本を読んだり、マタニティケアに詳しい先生のセミナーに行ったりしました。
それから数年経って「産後骨盤矯正」などはちょっとしたブームになり、「小顔矯正」などに並ぶ人気メニューとして、本来は捻挫や打撲の治療をするのが目的のはずの整骨院などでも大々的に売り出されるようになって来ました。
マタニティ整体を多くの人に知ってもらえるようになったことは嬉しい限りですが、お金になるからメニューに入れているようなところもあり、少し複雑な心境です。
あすとらむではこなした骨盤の数ではなく、どれだけの数のお母さんの笑顔をゲットできるか、地道ながらもさらなる進化を図っていきたいと考えています。