前回、痛い時に冷やすべきか温めるべきかどちらがいいかというお話をしました。
今回は次に多い質問である「塗り薬と貼り薬(湿布)のどちらが効果的か?」についてお答えします。
基本、薬は使わないに越したことはないのですが、本当に辛い時は上手に活用していただければいいとあすとらむでは考えます。
効果についてはそれぞれの薬効成分に依るところが大きいのですが、筋肉や骨格の痛みで処方される塗り薬・貼り薬は消炎鎮痛薬といって、患部の炎症を抑え、痛みを鎮める成分が入っています。
よくテレビなどのCMで耳にするインドメタシンなども非ステロイド系の抗炎症薬です。これらは服用すると消化器系に副作用を起こすことがあるので、皮膚から浸透させる塗り薬や貼り薬に向いている成分なんですね。ただし喘息持ちの方は発作を起こす恐れもあるので、お医者さんや薬剤師さんに相談の上、使ってみてくださいね。
塗り薬か貼り薬、それぞれこのような特徴があります。
メリット | デメリット | |
塗り薬(軟膏・ローション等) | よく擦り込むことで薬効成分が深部に浸透する。 | しっかり塗り込まないとべたべたする。効果が長持ちしない。 |
貼り薬(パップ剤・テープ剤等) | 広い範囲を長時間カバーして薬効成分を行き渡らせる。 | 長時間の使用で皮膚がかゆくなったり、かぶれる恐れがある。 |
一般的に腰(特に背骨に沿った中央部)や膝、足首、肩など皮膚表面に近い部分に問題がある場合は塗り薬をこまめにしっかり擦り込んだ方が効果があるようです。
また貼り薬は肘やひざなど動きの大きい関節では剥がれてしまう可能性があるのに対し、塗り薬はその心配がないのがいいですね。
塗る際は患部より広めに塗り広げ、よく擦り込んでくださいね。ゲル状の薬はべたべたした感じがなくなり、薬のカスが出るまでよく擦り込むと良いそうです。
使い勝手がいいのが塗り薬の特徴ですが、効果が長持ちしないのが欠点です。症状のある時は一日3~4回は塗り込む必要があるのですが、なかなかその時間を取れなかったりしますよね。
一方で筋肉の痛みなど広い範囲に痛みが出ているときは広い範囲を長時間カバーしてくれる貼り薬が効果的なようです。
なお、病院で処方される一般的な湿布(パップ剤)には、冷湿布と温湿布の二種類があります。
冷湿布は貼るとヒヤッと冷える感じがして、温湿布は貼るとポカポカ温かく感じます。
冷湿布は薬剤に含まれる水分の気化熱で患部を冷やし、同時に薬効成分で消炎鎮痛効果をもらたすもので、捻挫など急性の症状に有効です。
一方で温湿布は温感刺激で患部の血行を良くし、患部の発痛物質などを流しながら、薬効成分で消炎鎮痛効果をはかるもので、肩こりや腰痛など慢性の症状に有効です。
しかし、実際に湿布自体にどれだけ冷やす効果があるか?温める効果があるか?というと少々効果に疑問があります。
冷湿布にはメンソール(ハッカ成分)が含まれており、温湿布にはカプサイシン(唐辛子成分)が含まれており、それが皮膚に触れることで冷たさを感じたり、温かさを感じたりしているだけなのです。
ですので本当に患部を冷やす必要があるときはアイシングをした方が確実ですし、患部を温めたいときには他の方法を併用して保温に努めてくださいね(実際は温湿布も皮膚を覆う事で保温の効果があるので温める効果は多少なりともあります)。
結構、冷湿布を長時間貼ってると皮膚を覆う保温効果の方が優ってしまって、実は冷やすべき患部を温めてしまっている可能性があるので気をつけましょう!
また、貼り薬には薬効成分を浸透させる事だけを目的としたテープ剤(プラスター剤)というものがあります。モーラステープなどが有名ですね。
プラスター剤は効果が高いようで、使っておられる方の評判もいいのですが、光線過敏症(貼った跡に紫外線を浴びることで赤く腫れたり、かゆみを起こす)を起こしたり、一日5枚以上を長期間使用する事で胃潰瘍などの副作用が出る場合もあるので使いすぎにはご注意くださいね!
結局のところ、ある程度は使い勝手や使い心地で選んでもらえばかまわないので、ここで書いたことを参考にいろいろ試してみてくださいね!
薬は依存するのは良くありませんが、あすとらむでの施術と上手く併用して、早く良くなってくださいね!